ブログ

難燃・防炎・耐熱素材の違いとは?LOI値(限界酸素指数)と作業服の選び方を解説

col07_1

工場や製造現場、溶接作業など、火や高温を扱う職場では、作業服の素材選びが従業員の安全を守る重要なポイントになります。こうした現場で使用される機能性素材には、「難燃」「防炎」「耐熱」といった種類があります。

 

しかし、これらの言葉は似ているため、「何が違うのか」「どの素材を選べばよいのか」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。さらに、難燃素材を比較する際には「LOI値(限界酸素指数)」という数値が使われることがあります。

 

本記事では、難燃・防炎・耐熱素材の違いに加え、LOI値の意味や見方、企業の購買担当者・安全管理担当者が知っておきたい作業服の選定ポイントをわかりやすく解説します。

 

1. 難燃・防炎・耐熱素材の違いとは?

難燃・防炎・耐熱は、いずれも火や熱に関係する性能ですが、それぞれ重視する特徴が異なります。

 

種類 主な特徴 選定時のポイント
難燃素材 着火や炎の燃え広がりを抑える 燃焼のしにくさ、延焼の抑制
防炎素材 炎が燃え広がることを抑える 用途に応じた防炎性能や適用基準
耐熱素材 高温下で一定の性能や形状を維持する 耐熱温度、熱への暴露時間、遮熱性能

 

難燃と防炎は、どちらも炎の燃え広がりにくさに関係する言葉です。一方、耐熱は高温環境における素材の性質を表すものであり、必ずしも燃えにくさを意味するものではありません。また、耐熱性が高い素材でも、熱が身体に伝わりにくいとは限りません。

 

そのため、作業服を選ぶ際には、「燃えにくさ」と「熱から身体を守る性能」を区別することが重要です。

 

2. 難燃素材とは?炎が燃え広がりにくい素材

難燃素材とは、一般的な繊維と比較して、着火や燃焼の広がりを抑える性質を持つ素材です。例えば、溶接作業などで火花が作業服に付着した際、衣服に着火すると、やけどなどの重大な事故につながる可能性があります。難燃素材は、こうした燃焼や延焼のリスクを軽減する目的で使用されます。

 

代表的な難燃素材には、アラミド繊維やモダクリル繊維、難燃加工を施した綿素材などがあります。

 

ただし、難燃素材は「絶対に燃えない素材」ではありません。火炎の強さや接触時間、作業環境によっては燃焼や損傷が生じるため、素材の性能を正しく理解する必要があります。

 

3. 防炎素材とは?炎の広がりを抑える性能

防炎素材は、炎が接触した際に燃焼が急速に広がることを抑える性能を持つ素材です。日本では「防炎」という言葉が、消防法に基づく防炎性能の制度などで使用されています。例えば、カーテンやじゅうたんなどには、用途や設置場所に応じて防炎性能が求められる場合があります。

 

ただし、防炎性能があるからといって、必ずしも溶接作業や高温環境に適しているわけではありません。産業用の作業服では、火花や溶融金属の飛散、放射熱など、作業内容に応じた防護性能が必要になります。そのため、作業服の選定では「防炎」という表示だけで判断せず、実際の用途に適した試験結果や規格を確認することが大切です。

 

4. 耐熱素材とは?高温環境で性能を維持する素材

耐熱素材とは、高温にさらされても、一定の条件下で形状や強度などの性能を維持できる素材です。製鉄・鋳造工場や高温設備の周辺など、熱の影響を受けやすい作業環境で検討されます。

 

ただし、耐熱性と遮熱性は同じではありません。耐熱性は素材自体が高温に耐える性質を指し、遮熱性は熱が身体に伝わることを抑える性能に関係します。

 

例えば、高温設備の近くで作業する場合、素材が熱で変形しにくいだけでは十分な安全性を確保できないことがあります。放射熱や接触熱など、実際に想定される危険に対して必要な防護性能を確認することが重要です。

 

5. LOI値(限界酸素指数)とは?難燃性を数値で確認する指標

難燃素材を比較する際に知っておきたい指標の一つが、LOI値(Limiting Oxygen Index:限界酸素指数)です。LOI値とは、一定の試験条件下で、素材が燃焼を継続するために必要な最低酸素濃度を示す数値です。

 

一般的に、LOI値が高いほど、その試験条件では燃焼を継続しにくい傾向があります。

 

LOI値はどのように考えればよい?

私たちが普段生活している空気中には、約21%の酸素が含まれています。例えば、次のようなLOI値の素材があったとします。

 

  • LOI値18:酸素濃度18%程度でも、規定の条件で燃焼を継続する
  • LOI値26:酸素濃度26%程度が、規定の条件で燃焼を継続する境界となる
  • LOI値30:酸素濃度30%程度が、規定の条件で燃焼を継続する境界となる

 

この場合、同じ試験条件であれば、LOI値30の素材はLOI値18の素材より燃焼を継続しにくいと評価できます。

 

LOI値の比較イメージ

LOI値(例) 燃焼性の考え方
18 比較的低い酸素濃度でも燃焼を継続しやすい
21 通常の空気に近い酸素濃度が燃焼継続の境界となる
26 通常の空気より高い酸素濃度が必要となる
30 さらに高い酸素濃度が必要となる
35 同一試験条件では、より燃焼を継続しにくい傾向がある

※上記の数値はLOI値の意味を説明するための例です。作業服の安全性を分類する公式な等級や合否基準ではありません。

 

LOI値が高ければ安全なのか?

LOI値は難燃性を比較する際に役立ちますが、数値が高いだけで作業服の安全性を判断することはできません。例えば、LOI値が高い素材であっても、次のような性能が十分とは限りません。

 

  • 高温の物体に接触した際の防護性能
  • 放射熱から身体を守る性能
  • 溶接時の火花や溶融金属の飛散への耐性
  • 繰り返し洗濯した後の難燃性能
  • 完成した作業服全体としての安全性能

 

また、LOI値は試験片の形状や試験方法などの影響を受けるため、異なる条件で測定された数値を単純に比較することは適切ではありません。

 

LOI値は難燃性を知るための一つの指標であり、作業服の安全性を保証する数値ではないことを理解しておきましょう。

 

6. 作業環境によって必要な性能は異なる

作業服を選ぶ際には、難燃・防炎・耐熱という名称だけでなく、実際の作業環境で発生する危険を把握する必要があります。

 

作業環境 主な危険要因 確認したい性能
溶接・溶断作業 火花、スパッタ、溶融金属 難燃性、溶接作業用の防護性能
製鉄・鋳造工場 放射熱、溶融金属、高温 耐熱性、遮熱性、溶融金属への防護性能
化学工場 可燃性物質による火炎 難燃性、必要に応じた帯電防止性能
電気設備関連 電気アークによる熱 アーク熱に対する防護性能
高温設備の保守 接触熱、放射熱 接触熱・放射熱への防護性能

 

例えば、溶接作業では火花や溶融金属への対策が必要ですが、高温設備の周辺では、放射熱や接触熱への対策が重要になる場合があります。そのため、同じ難燃素材であっても、すべての現場に適しているとは限りません。作業内容や危険要因を整理し、必要な保護性能を備えたユニフォームを選ぶことが大切です。

 

7. 作業服の選定で確認したいJIS規格

安全性が求められる作業服では、LOI値だけでなく、JIS規格などの性能基準も確認することが重要です。代表的な規格には、次のものがあります。

 

規格 主な対象
JIS T 8128 溶接及び関連作業用防護服
JIS T 8129 熱及び火炎に対する防護服
JIS T 8130 火炎に対する防護服

 

これらの規格は、それぞれ想定する危険や要求性能が異なります。また、LOI値の測定方法に関連する規格として、JIS K 7201-2(プラスチックの酸素指数による燃焼性試験方法)などがあります。ただし、LOI値の試験と、防護服としての規格適合を確認する試験は目的が異なります。そのため、作業服の選定では、LOI値だけでなく、実際の使用目的に応じた防護服の性能試験結果を確認する必要があります。

 

8. 安全性と快適性を両立するユニフォーム選び

企業ユニフォームは、従業員が日常的に着用するものです。そのため、安全性能だけでなく、着心地や動きやすさ、洗濯耐久性なども重要な選定ポイントになります。

 

① 作業環境に適した安全性能

火花、火炎、放射熱など、想定される危険に対応した性能を備えているか。

 

② 着心地と動きやすさ

長時間着用しても負担が少なく、作業時の動作を妨げないか。

 

③ 洗濯後の性能維持

繰り返し洗濯しても、必要な難燃性能やその他の機能が維持されるか。

 

④ デザインとサイズ展開

従業員の体型や業務内容に合わせた設計ができるか。また、デザインや副資材が防護性能を損なわないか。

 

⑤ 継続的な供給体制

新入社員への支給やサイズ交換、追加発注などに対応できるか。

 

特に企業ユニフォームは、一度導入すると長期間使用するケースが多いため、購入時の価格だけでなく、交換頻度や追加発注など、運用面まで考慮することが重要です。

 

9. よくある質問

col07_2

Q. LOI値は高いほど難燃性が優れているのですか?

一般的には、同じ試験条件であれば、LOI値が高いほど燃焼を継続しにくい傾向があります。ただし、LOI値だけで作業服全体の安全性を評価することはできません。

Q. LOI値が26以上なら安全な作業服といえますか?

いいえ。LOI値26は、すべての作業環境に共通する安全基準ではありません。作業内容に応じて、火炎、熱、溶融金属などへの防護性能を確認する必要があります。

Q. 難燃素材と耐熱素材はどちらを選べばよいですか?

作業環境によって異なります。火炎や延焼への対策が必要な場合と、放射熱や接触熱への対策が必要な場合では、求められる性能が異なります。両方の性能が必要になる場合もあります。

Q. 難燃素材は洗濯すると性能が低下しますか?

素材や加工方法によって異なります。繊維自体に難燃性があるタイプと、難燃加工を施したタイプでは、性能維持の仕組みが異なります。メーカーが指定する洗濯条件や耐洗濯性能を確認しましょう。

 

10. まとめ|素材の名称やLOI値だけでなく、作業環境に適した性能を確認することが重要

難燃・防炎・耐熱素材は、いずれも火や熱に関連する機能性素材ですが、それぞれ重視する性能が異なります。難燃・防炎は炎の燃え広がりにくさに関係し、耐熱は高温環境での素材の性能維持に関係します。

 

また、LOI値は難燃性を数値で比較する際に役立つ指標ですが、その数値だけで作業服の安全性を判断することはできません。重要なのは、「素材の性能」「作業環境で想定される危険」「完成したユニフォームの防護性能」を総合的に確認することです。

 

安全性だけでなく、快適性や耐久性、継続的な運用まで考慮することで、従業員が安心して働けるユニフォーム環境づくりにつながります。

 

11. 作業環境に適したユニフォーム選びはアーバンユニフォームへ

アーバンユニフォームでは、企業ごとの作業環境や業務内容、ご要望に合わせたユニフォームをご提案しています。

 

  • 「難燃素材の性能を比較して、自社に適した作業服を選びたい」
  • 「LOI値やJIS規格の見方がわからない」
  • 「安全性だけでなく、着心地やデザイン性も重視したい」

 

このようなお悩みをお持ちの企業様も、ぜひお気軽にご相談ください。素材の機能性だけでなく、着用者の快適性や企業イメージ、継続的な運用まで考慮し、企業ごとのニーズに適したユニフォーム選びをお手伝いします。

 

働く人の安全と快適性、そして企業らしさを両立するユニフォームをご提案します。

 

col07_3

 

アーバンユニフォーム株式会社

https://urban-uniform.co.jp/

 

 

難燃素材の基本的な特徴や種類、難燃加工との違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

関連記事:難燃素材とは?特徴・種類・選定基準をわかりやすく解説

col06_1

ユニフォームのご相談、お問い合わせはこちら

ユニフォームのオーダーメイドや導入のご相談など、
どうぞお気軽にお問い合わせください。
内容の確認後、担当者よりご連絡させていただきます。